歯周病治療

歯周病は、歯茎の中で進行するため、病気の様子は外からは見えません。また、歯周病の原因は細菌による感染症なのですが、原因となる菌にはさまざまな種類があり、細菌の種類によっては効果的な治療法が異なります。
当院では、CTや唾液検査など、科学的な検査で原因を確かめ、症状や原因に合わせて治療を進めます。

当院が行う検査や治療法について、詳しく紹介します。

歯周ポケットの深さは、歯周病の進み具合の目安となります。歯周ポケットの深さが4mm以上になると、歯周病が発症している可能性があります。

歯周病は、骨を支える歯を溶かしてしまう病気です。骨の様子は肉眼ではわかりません。
多くの歯科医院では、レントゲンを使って骨の様子を撮影しますが、当院では、「CT」を使います。CTはお口の周囲を360度回転しながら撮影するので、2次元の撮影のみのレントゲンに比べて立体的で鮮明な画像が得られます。

唾液検査で、虫歯や歯周病のリスクを判定します。歯周病になりやすいお口の状態がわかるので、患者さんに適した治療や予防のプランを作るのに役立ちます。

歯周病の原因菌を特定できます。細菌の種類が変われば最適な治療法や薬品が変わります。遺伝子検査で細菌を特定することで、より効果的な治療プランを作成できるようになります。

歯周病の症状を改善するには、ご家庭での毎日の歯みがきは欠かせません。しかし、歯と歯の間の汚れや、歯周ポケット奥深くの歯石などは、ご家庭での歯みがきでは落としきれません。こういった汚れは、歯科医院でないと落とせません。
歯科医院が行うお口のクリーニングを、「PMTC（Professional Machine Tooth Cleaning）」といいます。お口のケアの専門家である歯科衛生士が、専用の器具や装置を使って歯石や歯垢をきれいに落としていきます。

歯周病や虫歯の原因菌が集まって、ヌメリのような状態になったものを「バイオフィルム」といいます。バイオフィルムは目には見えないのですが、歯にこびりついています。歯周病を治療・予防するためには、歯垢や歯石だけでなく、バイオフィルムも取り除かないといけません。

当院では、「エアフロー」という機械を使ってバイオフィルムを落とします。バイオフィルムは、細かいパウダーを歯の表面に吹き付けて、バイオフィルムを落とします。歯や歯茎に傷を付けることなく、バイオフィルムをしっかり落とせるのが特長です。

歯周菌菌の種類によっては、抗生物質のお薬が効きます。唾液検査や歯周病検査で原因菌を特定できたら、必要に応じて「ジスロマック」などのお薬を処方します。

除菌剤を入れたマウスピースをお口にはめて、歯の周囲の細菌を直接退治する治療法です。患部の歯周病菌をほとんど殺菌できるので、かなり効果のある治療法です。

当院では，歯科用のレーザー治療器を取り入れ、積極的に活用しています。当院のレーザーは「Er-YAGレーザー（エルビウムヤグレーザー）」といいます。レーザーの光には強い殺菌効果があり、患部を照らすことで、歯周病菌を効果的に退治できます。

お口の中には、多くの細菌が住み着いています。プロバイオティクスは、これらの細菌を利用した治療法で、サプリメントを服用することで、お口の中の善玉菌／悪玉菌のバランスを整え、虫歯や歯周病になりにくい体質を作っていきます。

歯周病が重度に進行すると、歯を支える骨が溶けてしまい、歯がグラグラしてきます。こうなると、歯科医院によっては抜歯を選択します。そうでなくても、時間の問題で歯が自然に抜けてしまうかもしれません。

しかし、骨を再生させ、歯を安定させることができれば、抜歯の必要はありません。
当院では、「歯周組織再生療法」という治療法で、骨の再生に取り組みます。

以下、詳しい治療法を紹介します。

ご存じない方も多いと思いますが、実は、歯周病で失われた骨や歯肉は自ら再生する力を持っています。しかし、実際に骨が自然に再生して元踊りになることはほぼありません。歯肉が再生するスピードは、骨に比べて圧倒的に速く、本来は骨が再生するスペースを歯肉が埋め尽くしてしまうためです。
そこで有効なのが「GTR」という治療法です。「メンブレン」という人工膜で、骨が再生するスペースを覆います。骨が歯肉に邪魔されことなく再生します。

「エムドゲイン」「リグロス」は、どちらも、骨を再生させる特殊なたんぱく質を含む薬品です。
患部を切開し、骨が失われた部分にこれらの薬品を直接塗布します。個人差はありますが、数ヶ月程度で骨が再生し、グラグラしていた歯が安定します。

次の画像をご覧ください。エムドゲインが骨を再生させる様子がわかります。

血液の中には、体の組織の再生を促す「成長因子」という成分が含まれています。患者さんご自身の血液を採取し、専用の装置（遠心分離機）にかけることにより、成長因子が凝縮された「フィブリンゲル」という物質が生成されます。

骨が失われた部分にフィブリンゲルを入れることで、骨が再生されます。ご自身の血液から作った物質なので、拒絶反応が起こることもありません。

歯周病が進行すると、歯周ポケットが深くなり、その奥底に歯石が溜まっていきます。歯周病が重度に進行すると、通常の器具では歯石が取れなくなってしまいます。取れないからといって歯石を放置すると、歯周病はさらに進行して、抜歯の運命が待っています。
このような症例では、歯肉を外科的に切開するなどして、歯石を取り除く「歯周外科治療」が有効です。

奥歯の根は複数に分かれています。奥歯の歯周病が重度に進行すると、歯の根の周囲の骨が失われ、歯の根の分かれ目が露出してしまいます。ここに歯石が付着すると、通常の方法で取ることはできません。
そこで、歯を2〜3に分割し、歯石を取りやすくする治療法が「ルートセパレーション」です。歯石を取り終えたら、被せ物を取り付けて見た目や機能性を回復します。

歯周病はいったん発症すると再発しやすく、多くの患者さんがこの病気で悩んでいます。

歯周病は細菌による感染症でもありますが、生活習慣病という側面もあります。冒頭で「歯周病は治せる」と書きましたが、それには患者さんの協力が必要です。私たち歯科医院がどんなに力を尽くしても、患者さんが毎日の歯みがきや定期的なメンテナンスを行わなければ、完治させることは難しいです。

当院は、セカンドオピニオンも受け付けています。

長年にわたって歯周病を治療しているのに、なかなかよくならない方。
すでに歯周病で何本も歯を失ってしまい、残っている歯を救いたい方。

お気軽にご相談ください。